ドラマ ビリオンズの感想とキャスト解説

ビリオンス シーズン4 ビリオンズ

ネットフリックスで配信中のドラマ、「ビリオンズ」を見た。ビリオンズはスリリングな脚本と、豪華な大・小道具満載の映像が楽しめる本格金融ドラマだ。

まずこのビリオンズで個人的に最も気に入った部分は、成功者が人生を賭けた戦いをするのに、本来あるはずの悲壮感がほとんどなく、変な煽りも無いところだ。

こういう類のドラマ、映画では、裁判の負け=長期刑、高い地位の公人の失職=再起不能となるけど、ビリオンズではそのリスクを十分に理解している主人公達が、ズカズカと勝利に向けてリスクを取りまくる。

見ようによっては、宿敵との対決にハマったばかりに、どんどんダークサイドに落ちていく人間のストーリーにも見えるが、実は主人公達はもともと恐ろしいほどのリスクテイカーで、そうでなければこの地位につけなかったというベースがあると思う。生まれつき裕福で、リーダーになるべく教育を受けてきたチャックも、一代で実力でのし上がったボビーも、人が決して渡らない危ない橋を渡って人生に勝ってきた。どんなに成功しても、そのリスクテイカーぶりが変わらないところが、このビリオンズを面白くしていると思う。

ビリオンズの設定と主なキャスト

このビリオンズの設定を簡単に説明すると・・

主役は敵対する2名。1人はアメリカNo,1のヘッジファンド経営者、「ボビー・アクセルロッド」。もう1人はNY州の州検事、「チャック・ローズ」。

ボビーは一般家庭に生まれた天才的な投資家。グレーゾーン的な情報収集を厭わず、必要があればインサイダー取引も行い、さらに株価操作まで行うブラックな面を持つ男。このドラマのタイトル、「ビリオンズ(億万長者を超える超金持ち!)」の代表的な人物だ。

ボビー・アクセルロッド / ダミアン・ルイス

ボビー・アクセルロッドを演じるのは「ダミアン・ルイス」

ダミアン・ルイスといえば、ここで何度か書いている、マイ・ベスト海外ドラマ「ホームランド・シーズン1」の主役だ。

ダミアン・ルイスの実力はホームランドのシーズン1を見れば一目瞭然。海外ドラマ史上で、あんなすごい演技をしてみせた俳優は自分が知る限り、ブレイキング・バッドの「ブライアン・クランストン」と彼の二人しかいない。

今回の役はホームランドとは大きく違うが、ダミアン・ルイスはこのボビー・アクセルロッドを当たり前のように普通に演じている。このビリオンズは、なんとなく演出過多みたいなところが時々あるが(特にシーズン1)、ダミアン・ルイスに関しては過多にも過少にも見えない。

このビリオンズでダミアン・ルイスが最も光っているところは、小さな勝負でも貪欲に勝ちに行く演技だと思う。これはさっき書いたリスクテイカーの件ともかぶる事だけど、このドラマのキャラは成功者なのに、超リッチなのに、その地位を維持するために全力で戦っているフシがある。

そんな貪欲さが主役の2人、特にボビー・アクセルロッドに何度も見えるところが面白い。超リッチな男が検事をハメるために飲料水に毒を盛るとか、普通ならあまりにバカバカしい脚本なのだけど、ビリオンズだと幻滅するより、その貪欲さに驚いてしまう。

なんというか、こういう必死さを上手に表現できる俳優がダミアン・ルイスなんだよね。ただ必死さだけなら、チャックのほうが上かな? ただチャックは負けても失脚だけで済むが、ボビーは刑務所行きだから。まあ、ここは少し必死さに違いが出るかもだ。

チャック・ローズ / ポール・ジアマッティ

チャックは裕福な家庭に生まれたが、常に公的機関に身を置く厳格な男。なので育ちが良く仕事のステイタスも高いが、リッチではない。*一般と比べれば十分リッチだが、両親や妻を始めとする成功者達やボビーのようなビリオンズの中に入るとかなり見劣りする。

そんなこんなでチャックの内情は劣等感の塊なのだけど、そのコンプレックスを強力なモチベーションに変えている。こういうタイプの人は多いようで意外に少ない。コンプレックスをバネに・・という話はよく言われるし、確かにそこから強いモチベーションを得ることも出来ると思う。でもそれを実行できる人間は実際には少ない。

シーズン1、2の頃のチャックは、そんな劣等感からくる強い競争心をムキ出しにしていた。こういうエリートで、しかもあんな美人を妻に持っていてもコンプレックスから逃れられないというのは考えさせられる。でもこのポール・ジアマッティ演じるチャックは、そんなことってあるのかな?と思わせるより、なぜか納得させてしまうものを持っている。

さらに、その後のシーズンでは、チャックが追い込まれるのだけど、ここでまた彼は良い演技をする。このビリオンズで言えば、最も優秀な演技をしているのは間違いなく、このポール・ジアマッティだ。

アレだけ嫌なヤツだったのに、なぜか嫌いになれなかったチャックというキャラ。その理由は、ポール・ジアマッティの演技にあるのだと思う。そういえば、チャック以上にムカつく存在だったチャックの父だが、これも最近親近感が湧いてきた。

最近のエピソードで、チャックが過去にハメた弁護士「アイラ」との壊れた関係を修復するという話があった。これはアイラとの関係修復を願うチャックが、アイラが妻に騙されていることを知り、その件を解決することで再びアイラと元の関係に戻れれば・・という話だ。この話でいきなり登場したチャックのオヤジは面白かった。このムカつくジジイをこんな面白い演出で輝かせるとは。この一幕はチャック自身のハイライトの一つにもなった思う。

マイク・ワグス / デヴィッド・コスタビル

ワグスはボビーの右腕。ボビーが信用する人間は、おそらく2人だけ。1人はウェンディで、もう一人がこのワグスだ。

ワグスは一見、ボビーの汚れ役を引き受けるイエスマンのような感じだが、実はボビーのピンチに、かなり有用な意見を何度もしてきている。また行動力もあり、能力は目立たないが、アックスキャピタルではボビーのサブだけではない、確固たる立場を築いている。

このワグスを演じるのは「デヴィッド・コスタビル」。このコスタビルは相当な実力者だ。このビリオンズでも無くてはならない役を演じているが、ここ最近の活躍も凄いものがある。

目立ったところでは、ブレイキング・バッドの「ゲイル・ベティカー」。ゲイルはガス・フリングの組織のトップ調理師だった男だ。。最後にピンクマンに撃ち殺されてしまうのだが、それまでウォルターを尊敬する良い人で、誰の目にもとまるような好演をしていた。

またブレイキング・バッドの良い人ではなく、本物の悪人を演じたのがダメージのシーズン1、2の「リック・メッサー」。このメッサーは悪人というより、とにかく怖い男だった。個人的には、海外ドラマ史上、最も怖いキャラがこのメッサーだ。

メッサーは悪徳刑事で、ゲイルやワグスとは違い、非常に無口で冷酷な男。こういう全く違う役を完璧にこなし、アーロン・ゼルマン、ヴィンス・ギリガンといった超大物プロデューサーに見初められる実力者がデヴィッド・コスタビルだ。

ダラービル / ケリー・オコイン

ダラービル、実はこのキャラがビリオンズで一番のお気に入りだ。

ダラービルはアメリカンな男で「超ケチな億万長者」という設定。シーズン1でボビーを追い込むために、チャックがダラービルを逮捕し、そこから情報を得ようとした事があった。

この時ダラービルは何かの支払い時に、ポイント欲しさにカードを出した事から名前が浮上し足がついたという、ケチを証明する話があった。そんなマヌケな一面もあるが、ボビーを始めとするアックスキャピタルのことは何一つ話さなかったという義理堅さも持つ。ダラービルはボビーを崇拝し、完璧に信じているが、ボビーの方はどうかな?という感じがしなくもない。

ただしS4のE3。これはダラービルが主役と言ってもよいエピソードだけど、ある偶然からアックスキャピタルで損失を出しそうになったダラービルが一線を超えそうになる。だがボビーとワグスはダラービルを止めるという内容だった。これはダラービルの暴走でアックスキャピタルに迷惑がかかるかも?と心配したボビーが止めたという可能性もあるけど、多分ボビーもワグスもダラービルを友人として見ているという演出だと思う。まあ、このドラマでは、今は友人でもこの先どう転ぶか?は全くわからないというのはあるが・・

そんなダラービル、ファッションはアメリカン愛国者風、性格も血の気が多く猪突猛進方だが、トレードの腕は高い。また独自の情報収集能力を持っているのだが、普通は誰も気にもとめないようなポイントから大きな獲物を釣り上げる能力を持つ。

こういう豪快なキャラを好演しているのが「ケリー・オコイン」。この人は海外ドラマファンなら一度は見たことがあるはずの人気俳優だ。とにかくいろいろなドラマで見るが、目立った主要キャラはあまり無い。でも、グッドワイフ、ハウス・オブ・カード、ブラックリストなど、すごいキャリアを持つ実力派だ。

テイラー・メイソン / エイジア・ケイト・ディロン

そしてシーズン3以降、最も存在感を示しているのが「テイラー・メイソン」だ。このキャラは本当に面白いし、かなりの可能性を感じる。このビリオンズで最も成功したサブキャラがテイラーだと言えると思う。

テイラー・メイソンを演じるのは「エイジア・ケイト・ディロン」。この人は役者としてはそこまで名声はないが、世間的には「性別にとらわれない人」としてわりと有名だ。

この人は人間的にもユニークなのだけど、このテイラーというキャラがね、本当に面白い。テイラー・メイソンは天才数学者。ある縁からアックスキャピタルのインターンとして働き始めたテイラーだが、その天才はすぐにボビーの目にもとまる。その後大学院で数学を極めたいというテイラーをボビーはアックスキャピタルに引き入れることに成功する。

ここから数学の狭い世界しか知らなかったテイラーが、本当の世界、そしてウォール・ストリートの世界を知ることになる。入社してすぐに頭角を現し、ボビーの信頼も得て投資部門のトップにまで上がってくるテイラー。

そんなときに、あることから資金繰りに困っていたボビー(アックスキャピタル)は、テイラーの情報を盗み聞きし、情報を悪用する。当然激怒するテイラーに、「会社のピンチなのだから仕方がない」という態度を見せるボビー。このときに損害を被り、一つの夢を諦めることになったのがテイラーの彼氏だった。ここからテイラーは独立し、ボビーと決別することになる・・

このテイラーのストーリーはよく出来ていると思う。ただ正直、アックスキャピタルでガンガンのしていくテイラーを見たかったし、ボビーと共に強大になっていくテイラーを見たかったが、こういう対立構造も面白い・・・かな? でも、今やっている、相手を騙したりするやり方はどうも好きではないなあ。

ストーリー的に言うなら、2人が対等の立場でやりあっても普通におもしろいだろうし、だいたいボビーにとってテイラーを騙し討ちした所で大したメリットは無いのではないかなあ?しかもテイラーは停戦を申し入れている。

チャックと、あのいかにもな司法長官(笑)の対立軸はわかりやすくていいけど、ボビーとテイラーの対立はどうにも賛同できないし、なによりも楽しめない。ボビーがテイラーの彼をハメた一件から、2人の関係修復は非常に難しいことは間違いないが、この2人の亀裂の責任は90%以上ボビーにある。

確かにテイラーならボビーの強敵になり得るが、それはライバル的なものになってほしいと考えるファンが多いだろう。この辺はどう落ち付くのか?個人的にはソフトランディング希望だ。

その他のキャラ

その他のキャラで目につくのは、2人組の調査員。

この2人は元軍人の凄腕で、IT関連の技術も高い。そこでシーズン3ではボビーがかなり重用した。この2人は、結構オリジナリティを出していたので、成功キャラと言えると思う。

この2人組の一人は、スーツでマイクの元親友役の俳優だよね。普通にイケメンだし、元軍人役もあっていると思う。

ただこの2人はシーズン4では今の所出演していないと思う。まあホールが戻ってきたから、仕事内容がかぶるからなあ。といっても敵が多すぎるボビーなので、ホールだけでは調査委員が足りない可能性もある。再登場を期待したい。

それからシーズン3の後半から登場した「グレゴール・アンドロフ」。演じるのはジョン・マルコビッチだ。まあこれはね、あまりにもコンサバ過ぎるキャスティングじゃないかなあ?

マルコビッチは、以前「ラウンダーズ」という映画で、KGBと呼ばれるロシアマフィアの役をやっていたけど、このアンドロフ役はまんまKGBだ。

まあ合ってないことは無いけど、あまりにコンサバ過ぎるし、そもそもこのドラマにこういう悪役が必要なのか?という気もする。いくら資金が欲しくても、こういう人物の資金を扱うファンドというのは少ないのでは?と思う。というか、今時、「損をさせたら殺す」的な投資家なんてウォール・ストリートにはいないでしょ?そんな事してたら誰もいなくなると思うし。

それ以外にも良いキャラがたくさんいるビリオンズ。こういうサブキャラが立っている感覚は、少しグッドワイフに似ている。こういうのは良いドラマの特徴といえるだろう。

日本通がいる?

このビリオンズでは、時々日本の話題が出る。

これが的を得ていることもあるし、???ということもある(笑)。

また、アナリストやディーラーに韓国人がいたり、インド人がいたりと、ウォール・ストリートのリアルな感覚も感じられると思う。会社に専属のセラピストがいたり、現代的なヘッジファンドの雰囲気も感じられる。

日本の話題に戻すと、例えばこんなセリフがあった。

・長官「日本の電車は座席を取り外して、サラリーマンをギュウギュウに詰め込むんだ。」

・長官の奥さん「日本なんて絶対に行きたくない!」

まあ笑えますよね。でも、これは別として、ビリオンズには日本食にかなり詳しい人がいるようだ。といっても、アメリカの、しかも超高級日本食だけど。

今まで、神戸牛はもちろん、寿司の話でも、かなり知識がないと出来ないような和食の話題が何度も出ている。

またラーメンにも興味があるらしく、東京の超高級ラーメンを接待のためにボビーが作らせたというシーンもあった。*よく見るとラーメンじゃなくて「そば」だったのには笑ったが・・

シーズン4

現在シーズン4配信中のビリオンズだけど、このシーズンに入ってなんとなく嫌な感じがする部分がある。

まず先程書いた、ボビーとテイラーの対立。これはボビーとチャックのようには楽しめない。

それとシーズン4に入ってのキャラ変更。これは主にウェンディの事なのだけど、あの聡明な彼女が普通のヘッジファンド社員になってしまった。

言うこともやることも、ただのアックスキャピタルの社員だ。あれだけ上手に社員をコントロールし、導いていた彼女がこんな普通になってしまうなんて、かなりガッカリだ。

そういえばシーズン3の最後も変だった。ウェンディがマフィを誘惑するような事をやっていたが、あれは最悪だ。あんなことをするウェンディなんて、何の魅力も感じられない。

テイラーとボビーの関係が悪化しているのも、ウェンディの発言に責任の一端がある。もうウェンディはアックスキャピタルを辞めたほうがいいのでは?政治家になるチャックのサポートのほうが、今の彼女には合っているような気がするが。

ちょっとこの辺りの変更はこの先の展開をかなり怪しくすると思う。このシーズンで人気がガタ落ちする!なんてことにはならないよう、上手く制作をしてほしいと思う。

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