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マンハント S1 ユナボマー

マンハント

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ネットフリックスオリジナルドラマのマンハント ユナボマーを見た。このマンハントは全8話のミニシリーズ。続編のシーズン2の配信も予定されているが、どうやらユナ・ボマー編はシーズン1で終了するらしい。

マンハントはトゥルー・ディテクティブやアメリカン・クライム・ストーリーのように、シーズンの主役犯罪者が入れ替わり、役者も基本、入れ替えとなるようだ。トゥルー・ディテクティブのように総入れ替えになるのか?アメリカン・ホラー・ストーリーのように演じるキャラは違うが同俳優が継続出演するのかは未定。でも個人的にはほぼ総入れ替えだと思う。

またシーズン2はアトランタ五輪の爆弾テロ事件が舞台になる予定とのこと。

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あらすじ

マンハント ユナ・ボマーは、そのタイトル通り爆弾魔ユナ・ボマーの物語。ユナ・ボマーは1970~1990年代にかけて郵便を使って爆弾を送り付け被害者を量産した犯罪者。

犯行の正確な動機は不明だが、彼自身が書いた犯行声明文では、現代のテクノロジー文化を批判し、人間本来の生活を壊さないよう自然に帰るべき・・という主張をしていた。

ユナ・ボマーの本名は、「セオドア・カジンスキー」で通称テッド。16歳で飛び級でハーバード大に進学するほどの学力をもち、IQは160オーバーという正真正銘の天才。だが、幼少時から人付き合いが苦手で友人はほとんど無く、進学したハーバード大ではCIAが裏で糸を引く心理実験の被験者とされてしまった。

ハーバード大を卒業後は別の大学で博士号を取得し大学助教授となるが、数年後に退職し森の小屋でひっそりと自給自足で暮らす生活をしていた。そしてその頃から犯行を始めるようになる。

17年もの間、ユナ・ボマーを捕まえる事が出来なかったFBIに、新しい分析官が加わる。この分析官の名前はフィッツジェラルド。フィッツジェラルド捜査官はユナ・ボマーの声明文の文章を鑑定する事で少しずつ正体に迫ることに成功する。

その後、新聞へのユナ・ボマー声明文の掲載から、ある人物が兄の書いた文章に似ていると通報する。この通報で一気に事件は解決に動くが・・・

感想

ハッキリ言って、かなり面白かった。正月だったこともあり、8話を1日でイッキ見してしまった(笑)

そのユナ・ボマーだけど、彼の事は郵便を使った連続爆弾魔ということくらいしか知らなかったので、このドラマで初めて知ったユナ・ボマーにはかなり驚いた。

まず驚いたのが、この時期にここまでレベルの高い犯罪者がいた事。ユナ・ボマーこと「テッド・カジンスキー」自身は、よくあるサイコパスだが、興味深いのは生まれつきのサイコパスだった彼が、ハーバード大在学中に受けた精神的実験(拷問に近い)をきっかけに殺人(爆弾)に傾倒したこと。正確には、その後数年してから犯行を始めるので、別のスイッチがあったのかもしれない。でもこのドラマでは、ハーバードでの一件が最大の犯行動機という扱いだった。

こういうもともとのサイコパスが、さらに追い打ちをかけられるというパターンは初めて見た。もしハーバードの一件がなかったら、テッドはどんな人生を送ったのだろうか?とにかくこのマンハントは、もしOOだったら?と想像させることが多いドラマだった。それだけ自分が真剣に見入っていたということなんだろう。とにかくテッド・カジンスキーの生き方には目を離せないものがあった。

テッド・カジンスキーのように天才的な頭脳を持ったサイコパスは他にもいるが、ここまで罪悪感を持たない天才はあまり記憶にない。こんな犯罪者がこの時代にいたから、FBIの行動分析課がやたら発展したのだろうとも思う。

そしてユナ・ボマーがテロに使った凶器が爆弾だというのも印象的だ。確かにエリート系の犯罪者は爆弾を好む傾向があるけど、彼の場合は個人を狙っているのに爆弾という矛盾点がある。この爆弾を使った犯行には必ず意味があると思うが、それは何だったのだろう?郵送にこだわった理由は語られたが、爆弾もそれが理由なのだろうか??

テッドの事以外では、やはりフィッツの推理が目を引いた。フィッツの専門はプロファイリングだが彼は文章解析で勝負に出た。 目撃の似顔絵1枚と声明文しか証拠がないので、文章解析に目をつけたのはさすがだと思うが、個人的にはプロファイラーにはなりたいと思うけど、文章解析はやりたくないなあ(笑)他のFBI捜査官から、フィッツが少し引かれていたのも分かる気がする。

それにしても、これは普通は日の当たらないスペシャリストが活躍した(解決した)珍しいケースだ。そして行動分析課が発足してから最も困難な捜査だったこの事件を、文章解析から解決できたというのは、FBIにとっても行動分析課にとっても大きかったと思う。これは行動分析が無ければ絶対に逮捕できないヤマだから。そういう意味でも、変な言い方だけどこのドラマを見ていて終始緊張した。

素晴らしい脚本と演出。ユナ・ボマー役のポール・ベタニーの演技は真に迫っていて、いろいろな感情が湧いた。

フィッツ役のサム・ワーシントンもさすが。こういう彼を見るのは初めてだけど、キッチリこなしていた。世紀の大事件を8話にまとめた製作者の手腕もお見事だった。

テッド・カジンスキーは謎が多い

カジンスキー(ユナ・ボマー)という男は、とにかく難解な人間だった。子供時代のエピソードから、彼が生まれつきサイコパスの要素を強く持っていたことは分かる。ただ大多数のサイコパスは、子供時代に動物を虐待する、または自身が大人から虐待を受けるというパターンに当てはまる。ところがカジンスキーはこれには当てはまらない。*大学時代の拷問はあるが、大多数は幼少期に虐待を受けている。

この辺も、このドラマの面白いところで、常に興味を持ち続けられる理由だった。

またこのドラマでは、もともと人付き合いが苦手だったカジンスキーだが、本心では人とのつながりを求めていたとある。もちろんある程度はそういう気持ちもあると思うが、彼の山小屋での生活を見ていると、個人的にはなにか違うような気がしたなあ。

それと彼が反対する「科学技術の進歩」。まあカジンスキーは、科学というか物質的なこと全般に否定的な考えがあるようだ。このドラマでカジンスキーは、人間は物質的な欲?を捨て、本当に大切な人とのつながりを大切に・・という考えがあったと描かれているが、それもどうかかなあと思う。

もちろん彼にそういう考えはあると思うし、好きな人から必要とされたいという描写もある程度本当だと思う。でも、あのカジンスキーが、他者から受け入れられなかったことを科学の発展のせいにするかなあ? しかもそれで爆弾テロをするか??

この辺のユナ・ボマーの真の動機、そして被害者の選定理由は何だったのか?ドラマではこの疑問に答えてほしかった。もちろん、これが機密になっていて誰も知りようがないことは分かる。でも、だからこそ、製作者は慎重に推測し意見をするべきだったんじゃないかな? それに対して、視聴者はいろんな感情が湧くからね。そこは少し残念だった。

疑問

それにしても理解できないのが、ユナ・ボマーには明確な復讐相手(ハーバード大教授のヘンリー・マレー)がいるのに、なぜそれを狙わず全く面識のない相手を狙ったのか?

子供時代の親友が、ガールフレンドができたことでカジンスキーを避けるようになり、カジンスキーはその報復で薬品で友人の顔に火傷を負わせたという話があった。この当時は個人に対する復讐が犯行動機だったのに、ハーバード大での実験から、カジンスキーは人ではなく社会を恨むようになっている。

ここがどうも理解できない。ユナ・ボマーは社会を変革するためと称し爆弾テロを起こし、声明を出しているが、そもそもの復讐相手の教授に対し何もしないのは理解に苦しむ。

大学を狙っていることは、大学への恨みや彼の主義に反する教育を進めているからなどの理由だろうが、それにしても面識はないにしろ、特定の個人に対し爆弾を郵送しているのだから、個別の犯行自体にも何か意味を見出していたのでは?と思う。

また、現在のプロファイリングでは、連続殺人犯は最初の犯行が本来の目的で、その後の犯行は本来の相手の代用となる場合が多い。クリミナル・マインドでもこういうパターンは多い。

逆パターンもある。その場合は、初期の殺人は本来の相手への練習で、犯人が犯行に自信ををつけると本命に向かうというもの。このパターンも少なくない。

でもユナ・ボマーはどちらにも当てはまらない。このドラマ、マンハントではなぜヘンリー・マレー教授を狙わなかったのか?について言及がなかったが、そこはハッキリさせてほしかった。

まとめ

とにかく面白かったマンハント ユナ・ボマー。

見終わったのに、未だに興味が尽きない。これもテッドの本心が隠されたままだったからだと思うが、そう考えるとこれで良かったのかな?

彼に関しては、もしもっと良い環境で育っていたのなら?と思うと同時に、いくら裏切られたとはいえ、幼少期に友人の顔にひどい火傷を負わせるなんていう事ができるほど罪悪感を持たない危険人物とも言える。

感想を少し付け加えると、逮捕直前にあった図書館の少年との交流の話も際立ってよかった。あの少年に対しいろいろとアドバイスするテッドは極普通の人間だった。というより、親身になって悩みを聞き、勉強を教え心を開いていった。だが、少年が誕生日に友人からプレゼントをもらっている場面を見て、テッドは小屋にこもる。この時の彼の感情描写は作ったプレゼントを燃やしただけだったが、もしかしすると裏切りと感じていたのかもしれない。

こういうサイコパスの恐ろしいところもしっかり描いていたこのドラマ。どう感じるか?どう推測するか?は、個人個人違うと思う。でもこのマンハントを見ていると、何かを思わざるを得ない、そんな大きく心に残るドラマだった。

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