シーズン7まで続いたスキャンダルもついに最終回。過去に何度もヒドい感想を書いた覚えがあるけど、なんやかんや言いながら結局は全話完走(笑)。
さすがと思える良い面は、先を読ませない、そして飽きさせない脚本。そしてシーリーズ開始当初は「なんだこりゃ~」と感じていたキャスティングも、今では違和感なし・・・
このスキャンダル、全部見終えての正直な感想は、「認めたくはないが、結構面白かった不思議なドラマ」だ。
最終回に関して
今回の最終回、まずは結末に関してだけど、ほとんどの部分は予測していた通りだった。先を読ませないションダ・ライムズの脚本としては、少し物足りなく感じる人もいるかも?だけど、個人的には、このほぼハッピーエンドで良かったと思う。
オリヴィアとフィッツで終わるのは、このドラマの最高のハッピーエンドだし、クインとチャーリーの結婚、メリーの大統領継続とマーカスとの復縁、クイン・パーキンス&アソシエイツは続き、オリヴィアはローワンと完全和解。と、まあここまでは予測できる終わり方だけど、「は?」という面もいくつかあった。
まず「なんで?」と感じたのは、デイヴィッド・ローゼンの死。これ意味あるの?なんて思って見ていたけど、全員がハッピーエンドはリアリティ無しとの判断なのか、サイラスの権力欲にイカれてしまった人間性を表す演出だったのか?
なによりアビーがちょっと可愛そうだった。そういうスパイス的な意味だったのかな??
そして、そのサイラスが追求されなかったことも変だ。別にローゼンがいなくても、いくらでもサイラスの残した証拠はあるし、なによりジェイクが供述するだろ~。
B-613
そのジェイク・バラード。なぜジェイク一人が投獄?? スキャンダルは結局B613が悪(正義の白い帽子の対極)だとして裁いたが、その代表者がジェイク? これはいくらなんでも整合性を見いだせない。
いや、ジェイクが収監され、彼自身がとくに抵抗もしていなかった事から、ああ、これはたぶんローワンが手を回すのかな?なんて考えていたら、ローワンはオリヴィアとディナーだもん(笑)。
あの島の暮らしを捨てさせ、DCに戻らせた張本人のオリヴィアがこの世の春を謳歌し、ジェイクは死ぬまで刑務所かあ???いや死刑か?
まあ、こういう、2人の人物がいて、片方が何らかの良くない決断をする。その後、決断をした方は幸せになり、聞き入れた方はドン底に落ちるという話は、結構アメリカのドラマや映画である話。 ここは日本人と少し感覚が違うよなあ。仕方が無いで済ますアメリカの個人主義。でも、これ日本人が甘いのか?この手のシーンを見ると、最近いつも考えさせられる。
それより「B-613」。個人的にはこのB613の話が無ければ、または、もう少し規模の小さな話ならば良かったのでは?と思う。スキャンダルは、このB613が出てきてから、話が大きくなりすぎてやや面白さを失った面がある。 せいぜい国内の暗殺とか、始末とか、その程度に済ませておけばね。世界を動かすとか、大統領を操るとか、もう行き過ぎでしょ。ここはミスったのでは?と感じる面だった。
だってスキャンダルだからね、タイトルが。B613は24とかでもあり得ないような、巨大秘密諜報組織だもん。
シリーズ後半にきて実力を発揮したキャスト
このスキャンダル、シーズン3とその後ではかなり印象が変わっている。開始当初の「スキャンダル」的なメインストーリーから、シーズン4以降は、B613を中心とした政治ドラマ的な流れに変わっている。
正直、メロドラっぽいストーリーに、ションダ・ライムズが得意とする辛口ジョークと劇的なストーリー展開があれば、それでも十分面白かっただろうから、まだスキャンダルは続いていたかもしれない。文句を言いながらも見る、そんなドラマはいくらでもあるから。
と、個人的にはメロドラ路線を貫いてほしかったけど、スキャンダルが政治色を強めてから、演技が目に見えて良くなったキャストが何人かいる。
Scandal: What exactly does that Olivia Pope portrait mean? https://t.co/VS2hBHAycc
— Entertainment Weekly (@EW) 2018年4月20日
まずその筆頭は、主役のオリヴィア・ポープを演じた「ケリー・ワシントン」。彼女はスキャンダルがバリバリのメロドラだった時は、全然大物感が無くてキャスティングミスに見えた。ところが、番組が政治色を強めて、サスペンス調になってくると存在感を増し始めた。カッコよく高級品を身に着け、張り切った演技がピタリとハマる。
これと全く同じことが、フィッツジェラルド大統領を演じた「トニー・ゴールドウィン」にも言える。最初は、なんて頼りない、海外ドラマ史上最弱の大統領だ!なんて感想を書いていたけど(笑)、今では元大統領役が完璧にハマっている。7シーズンの間に成長したのもあるだろうけど、トニー・ゴールドウィンはケリー・ワシントン同様、シリアスな役でより実力を発揮する俳優なんだと思う。
How’s that #Scandal hangover? For those who were asking, this was my first scene with @kerrywashington. You can see that she was already giving me instructions. Love you kw. Only 1 more to go! #TheFinalScandal #flashbackfriday pic.twitter.com/NhxOai97uT
— Tony Goldwyn (@tonygoldwyn) 2018年4月13日
この主役2人には、今までいろいろ文句を書いてきたが、終わってみると2人は素晴らしいプロフェッショナルだった。ここは素直に自分の間違いを認めよう。
最後までフィクサーに見えないオリヴィア・ポープ
これも開始当初から書いていた感想だけど、やっぱりオリヴィアは最後までフィクサーっぽくなかった。
イメージ的に最も一般的なフィクサーというと、レイ・ドノバンなんかが当てはまると思うけど、レイ・ドノバンとオリヴィアは住む世界が違いすぎる。あれがフィクサーなら、オリヴィアは全くフィクサーとはかけ離れている。
もし政治的なフィクサーとしてなら、最近だと「ハウス・オブ・カード」のマーク・アッシャーなんかがイメージ通りだと思う。彼は補佐官職にあるけど、明らかにフィクサー的な役回りも担っていた。同じ補佐官のダグ・スタンパーとは全く違うタイプだ。
そんなマーク・アッシャーともオリヴィアは全然違う。単純に弁護士=フィクサーという意味なら、オリヴィアもそうなのだろうが、それもイメージ的にかなり違うと思う。
そういえば最終回の邦題は「最後の修復」だったけど、今回も特に修復らしい修復はしていなかった。*原題は「Over a Cliff」で邦題とは無関係(笑)
まあどっちでもいいんだけど、「フィクサー」の設定で視界が狭まり、「グラディエイター」の設定が薄まったことで面白さが欠けたかな・・と感じるところは少し残念。
まとめ
やっぱり文句が出てしまうんだけど、最初に書いたように、このスキャンダルは面白かった。
設定的に軽い気持ちで見られるとか、いちいち人物や背景を記憶しないでもストーリーについていけるといった、いい意味での軽さが全話完走につながったと思う。
少し前まで、一話完結タイプの海外ドラマが全盛だったけど、ここのところ傾向が変わってきたかな? スキャンダルは一話完結でなくても、軽く見ることができる、設定を把握する必要がなく楽しめるという長所を持っていた。
また後半演技が光った、ケリー・ワシントンとトニー・ゴールドウィンだけど、前半はサイラス・ビーン役のジェフ・ペリーとメリー役のベラミー・ヤングが良かったと思う。
そしてシリーズ通して良かったのは、アビー役の「ダービー・スタンチフィールド」。
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— Scandal (@ScandalABC) 2018年3月28日
彼女はこのスキャンダルでかなり名前を売ったし、レギュラーとして活躍できる能力も見せたと思う。
この人は、アビーのような、ちょっとヒステリックで神経質なタイプが得意だろうけど、古き良きアメリカ人みたいなキャラもいいと思う。
ダービー・スタンチフィールドは、NCISでギブスの殺された妻役もやっていた。悲劇の女性というのも合うね。
ということで、スキャンダルは終わってしまったけど、また別のドラマでキャストを見られることを期待しよう。
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