海外ドラマ「スーツ S5 E16 / 72時間」
今回がスーツ シーズン5の最終話。
タイトルの72時間とは、今シーズン終盤でマイクがついに弁護士資格の無い偽弁護士だと判明し起訴され大ピンチに陥る。
しかもマイクの問題を知っていて~という罪でハーヴィーやジェシカも追求を受けるハメに。
最終的に、仲間を追求しない代わりに懲役2年を受け入れるという取引をしたマイク。
その取引から刑務所への出頭までの時間が「72時間」。
まずビックリなのが、アメリカってこういう場合、刑務所に直接出頭するの?って事。
そんなのあるのかな??と思ってみていたけど、本当にそうなのかな?
まあそれはいいとして、今までのスーツ(正確にはシーズン3以降)で個人的に指摘してきたのは、リアリティの無さ。
偽弁護士というのはアメリカでも結構重い罪。
過去のリーガルドラマでは、8年とか6年とかの実刑判決だった。
最近、有名女優の息子が強姦致傷で逮捕されたニュースがあったけど、懲役としてはこれと同等かそれ以上。
ま、アメリカで強姦罪というと15年だったはずだから、米日の違いはある。
でも、この偽弁護士というのは、そのくらい重い罪。
日本の芸能人の話題ついでに言うなら、少し前に経歴詐称で大バッシングを浴び、追放状態の司会者?「ショーン・?」という人がいたけど、マイクの罪はあんなの問題にならない。
今回のジェシカとルイスの会話にもあったけど、過去にマイクが関わった案件の全てから訴訟を起こされる可能性があり、さらに逆転敗訴になる可能性が高いんだよね。
これは本当にとんでもない事態、彼らに弁護され、正義を勝ち取った人たちからすると重大な裏切りだ。
偽弁護士ってのは詐欺に当たると、ハーヴィーのセリフにあったけど、詐欺っていうのは「振り込め詐欺」とか、「オレオレ詐欺」と同じだからねぇ。
自分の祖母や祖父が騙され、老後の資金を騙し取られたら・・と考えると、詐欺の悪質さ、卑劣さがよくわかるけど、マイクや事務所のメインメンバーは全員この詐欺に加担し同じように人を騙してきた。
スーツはライトタイプのリーガルドラマだけど、この件だけはシリアスに行かないとストーリーが破綻する。
で、今回まで見てきた感想だけど、面白いと思う気持ちと、破綻しかけていると思う気持ちの半々かなぁ。
まあ、ストーリー上でも今回で結論が出ていないので、個人的な感想も結論として書くことは出来ない。
スーツはシーズン6への更新が決まっているので、この件の本当の結末は新シーズンへ・・となっているんだよね。
そしてここに非常にイヤな予感がする。
一応、このシーズン最終話で、マイクは罪を認め服役することを選んだ(司法取引)。
マイクのこの決断は、ある意味リアリティがあり、周囲の人物の対応もとても良かった。
描写も緊張感があり、一体これからどうなるんだろう??というある種の期待も感じられた。
でも、ラストシーンではマイクは収監されていないギリギリのところで終わっている。
これさぁ、まさかの無罪放免じゃないの?
だいたい、いくらアメリカの弁護士といえども、この裁判でのハーヴィー(マイク側)の主張は、マイクがハーバード卒ではないという証拠がない!というものと、弁護士資格がないという証明ができない!という、とんでもないものだった。
本来争うべきは、ハーバード卒ではないという証明と弁護士資格がないという証明のはず。
当然、これを検察側は主張し、それに弁護側が対抗する~というのが流れのはず。
ところがハーヴィーは、ハーバード卒ではないという証明が甘い、弁護士資格がないと断言できない~と主張した。
しかも検察側は、これに付き合うという無能ぶり・・・
でもこんな主張が許されるなら、無免許運転はもちろん、信号無視ですら長期の裁判になってしまう。
ということで、ここはあまりにもリアリティが無さ過ぎる。
マイクの偽弁護士疑惑が浮上した時、すごくスリルがあって期待したけど、今回のラストから続きを想像すると、結局スーツはシーズン2までの面白さには戻れないだろうな、と半分は感じている。
ただ今回の演出面はとても良かったと思う。
まずレイチェル。
一見、とても利己的に見えたレイチェルの主張。
マイクとは結婚する、マイクの罪は裁判で無罪ならチャラ、ハーヴィーやジェシカを売ってでもマイクに服役を逃れてほしい、詐欺師との結婚を今まで大切に育ててきてくれた両親に認めてほしい、過去をチャラにした挙句、マイクはそのまま本当の弁護士として今後も活動、さらに豊かな生活も手放さない・・・・
なんなんだ、このずうずうしい女は!と言いたくなるレイチェルの行動だけど、実際に自分がレイチェルの立場なら、こうして、こう望んで当然だと思う。
人生は一回きりだし、全力で最高の物にするべきだよね。
マイクの詐欺を知っていて黙っていた、という罪はあるけど、最も悪いのは詐欺を働いたマイク。
レイチェルは自分の権利を主張して当然だ。
ハーヴィーとジェシカの演技、演出もリアリティがあった。
この2人はレイチェルとは違い、マイクの詐欺を知っていた上に彼らは多大な利益を受けている。
言ってみればレイチェルはグレー、でもハーヴィーとジェシカは完全に黒だ。
そんな彼らなので、レイチェルよりはるかに現実的な行動を取る。
ハーヴィーは自分がマイクを採用した事から、この件の責任を取り自分が服役しようとする。
逆にジェシカは、巻き込まれたという意識があるためか、マイクのことより事務所(自分の将来)のための動く。
良いも悪いも、この自分の周りだけ幸せなら、他人がツラい人生を送るのは仕方がないというのが、ハーヴィーやジェシカ、ルイス、ドナ、レイチェルといったスーツの主要メンバーの哲学。
ハーヴィーはマイクとドナの為なら何でもするけど、他人には相当ひどい事を受け入れさせる。
過去にはハーヴィーに無一文にされた経営者や、会社を奪われた者、大損させられ経済界から退場させられた者もいた。
そして殆どが、そこまでの罪は犯していない者ばかり。逆に落ち度があったハーヴィーの顧客やマイクは大きな利益を得ている。
ジェシカも同じようなことをやり、しかもハーヴィー以上に悪びれない。
ドナも全く同じだ。
ルイスにしても、以前友人になれそうだった英国人弁護士に対しかなり汚いマネをしたし、今回のカトリーナに対してもそう。
あれだけ忠誠を尽くしていたカトリーナを、結局は騙し利用した。
こういうスーツの、「自分の周りだけ」という考え方は、大嫌いだし自分はこうはなりたくないと思う。
彼らの主張は、自分が先に裏切っても、相手が返してきたら、もう信用出来ない!お前は裏切ったから許さない!だから(笑)。
まあ、こんな連中と友人になんかなりたくないけどね。
でもマイクだけは違うんだよね。
彼は思いやりがあるし、弱い人間を見捨てることは出来ない。*過去にそうせざるを得なくなったことはあるが・・
そんなマイクが詐欺を行い、しかも彼だけが罰を受けようとしている。
個人的な予想では、ハーヴィーがギリギリで逆転させ、マイクは収監されず・・・とか、反対にハーヴィーがマイクの身代わりに収監される・・とかのような気がする。
なんにしても、ハーヴィーの策でマイクは局面を打開するんだと思うけど、誰もが納得する正義を~というなら、マイクはもちろん、ハーヴィー、ジェシカ、ドナ、ルイスは、マイクとともに服役するべきだよ。
ハーヴィーを除く4人は、絶対自分だけは安全な場所からこの件を見ているけど、これ現実だったら卑怯すぎるって。
と、厳しく書いたけど、これは結局マイクと全員が新シーズンでお咎め無しだった場合ね。
ちゃんとケジメをつけたなら、良い脚本だと思う。
でもどっちにしても、人間は利己的なもの。
自分の人生が第一。
そこを描くのがリアリティというものだ。
だから今回のスーツ シーズン5最終回は、なかなかリアリティがあって面白かった。
嫌な気持ちはもちろんあるけど、演出・脚本には納得したし、素直に面白かったと感じたな。
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