PR

The Sinner -隠された理由- シーズン3 ジェイミーの感想

ザ・シナー シーズン3 The Sinner / ザ・シナー

当サイトはPR広告を表示しています。

Netflixオリジナル作品の「The Sinner シーズン3 / ジェイミー」を見たのでその感想です。

ザ・シナーは容疑者の名前がシーズンタイトルにつく設定になっている。なので「ジェイミー」とは、シーズン3で起きる事件の容疑者ということになる。

PR

The Sinnerの設定

ザ・シナーは、ジェシカ・ピール出演でシリーズを開始したアメリカのドラマ。ジェシカ・ピールはシーズン1のみ出演だが、2・3ではプロデューサーとしてクレジットされていた。

タイトルでわかるようにザ・シナーは犯罪モノ(刑事モノ)で、メインで描かれているのは主に加害者の心理描写。そして加害者とシンクロして揺れ動く、主役「ハリー・アンブローズ刑事」の心理描写がザ・シナーの根幹になる。

このハリー・アンブローズは、一般的に言えば良い刑事であり、普通に良い人だ。刑事としての長所は、他の刑事が見逃すような事に目をつける能力に長け、基本弱者の味方として行動するところ。また、事件そのものへの先入観をあまり持たず捜査出来ることも長所だと思う。

逆に短所は、まず深入りしすぎる傾向にある事。まあ、これがあるから難解な事件を解決に導けるというのはあるが、深入りしすぎて自分をコントロールできなくなる変なクセを持っている。これ、こう書くと意味不明だと思うが、見てもらえればわかるはずw この部分の個人的な感想は、シーズン1では「頑張れハリー!」だった。2でも「頑張れハリー」だったが、「もう少し俯瞰して見れば??」と感じ始め、今シーズンは、「普通に捜査すればいのに・・」とやや悪い方に流れてきた・・

ザ・シナーの具体的な設定は、「犯人がかなり明確に判明している殺人事件(誰が犯人か確定しているという意味)が起こるが、その動機に深い謎が残る」というもの。事件自体は単純明快だが、そもそも動機は?原因は?というところにアンブローズが着目することからドラマが始まる。

今回のシーズン3では、ある山道で自動車の死亡事故(2名乗車→1名死亡(運転手)→1名軽傷)が起こるが、生き残った同乗者の態度に違和感を覚えたアンブローズが真相を究明するという、過去2シーズンとは異なる設定になっていた。

シーズン1・2では、まず殺人事件の容疑者(というか、完全に犯人)が逮捕される。だが容疑者は殺人の動機を語らない。自白は取れたが、容疑者の心理に深いキズのようなものを感じたアンブローズは、執拗な捜査でその動機を明らかにし真相を暴き出す。その真相とは、実は事件は単純な殺人ではなく、過去の別の事件(S2では宗教的理由)に要因があったとして、容疑者は無罪になる。

さらりと書いたが、実はここはかなり重要なポイント。確かに動機を考えると、容疑者(加害者)に情状酌量の余地は十分にある。だがS1・2共になんの躊躇もなく殺人を犯した容疑者を無罪放免にするというのは、かなり攻めた脚本だ。

個人的にはこの脚本には賛成で、シーズン1・2の結末にはとても満足した。とはいえ、こういう判決が出せるほどアメリカの司法制度(陪審員制度)が成熟していると言ッテも良いが、さすがに現実では無罪になるのはかなり少ないのでは?とも思った。

ザ・シナー シーズン3のストーリー

今回も主演はアンブローズ役のビル・プルマン。そして容疑者のジェイミー役に「マット・ボマー」。

このマット・ボマー演じるジェイミーは高校教師。美人の奥さんは妊娠中で一見幸せの只中という感じ。ただ、ジェイミーはそう信じようとしているが、奥さんの方はジェイミーのどこかに違和感を覚えている。2人共何かがおかしいが、そこまで根深いものとは思わず・・という状況。

そんなある日、ジェイミーの大学時代の旧友というニックが現れる。ジェイミーはニックを自宅から遠ざけようとするが、何か秘密を握られているらしくディナーに迎え入れることに。

そしてその夜、ニックが運転しジェイミーが同乗する車が山道で事故を起こし大破。ニックは死亡する。その事故の捜査を担当したのはアンブローズ。アンブローズはただの事故として捜査を始めるが、ジェイミーの取り調べ(任意)で彼が嘘をついていることを確信する。

その後アンブローズは、事故で瀕死のニックが死亡するまで、ジェイミーが救急車を呼ばなかったことを疑い、ジェイミーがなぜそうしたのか?なぜニックの死を望むのか?の謎を突き止めるべく独自の捜査を開始する。

個人的な見解と感想

今回のザ・シナー・シーズン3、個人的な感想を先に書くと、シーズン1・2ほど面白いとは思えなかった。そしてなにより後味が悪すぎた。さらに付け加えると、重要なポイントで共感出来ない事がいくつかあった。ということで、正直ネガティブな感想が多い。

まず前シーズンほど面白いと思えなかった理由だけど、その多くは前述した後味の悪さと、共感できないいくつかの重要な事柄だ。

この後味の悪さ、こう書けばザ・シナーシーズン3を見た人は、「ああ、あれか」と思うはず。そう、それですよ、アンブローズがジェイミーを騙して、事故で瀕死のニックが死ぬまで放置した件を、自供させた事。

これまでアンブローズは弱者の味方で、悲惨な結末を迎えた事件に巻き込まれた姉妹(姉)を助け、宗教の縛りの中にいた子供を助けてきた。彼らは明らかに犯人(シナー)だったが、アンブローズは事件(罪)より本質を見よ!と暗に主張してきた。

そんな罪を犯した人間の弱さ、痛みを知るアンブローズが、事もあろうにまともに生きようとした男を騙し、その後の人生を葬り去った。

このアンブローズの心理、決断をどうしても理解できない。*というか、なぜこの脚本にしたのか?そしてなぜこの脚本をNetflixがOKしたのか?

いや、もちろんなぜアンブローズがそうしたのか?にしても、彼の中の正義もわかっている。だが、この件でジェイミーを逮捕・投獄することが正しいことだろうか? もしアンブローズが変に追求をしなければ、おそらくジェイミーは生まれてきた子供と、それなりに幸せな人生を送れた可能性は大いにある。自分としては、あの時点でのジェイミーにはその可能性を見た。

おそらくこのドラマが言いたかったことは、「いや、それでもジェイミーはいずれ殺ったよ、ニックもアンブローズも根底は同じなんだ」というものなのだろう。それでも深淵を覗いてしまう人間は、その性から逃れられない、と。でもそうなのだろうか?

確かにジェイミーは、本来幸せの絶頂である時期に一人暗く重い何かを抱え、学校のトイレでマリファナをやらなければならないほど病んでいた。「何か」の正体は、どうしても深淵を覗いてしまう自分自身だろう。*覗きたい自分を抑えきれない

そしてジェイミーは深淵の象徴とも言えるニックを、自ら呼び込むというところまで自分を追い詰めてしまった。だが、だからこそジェイミーはニックの死を待ったのだろう。あのまま終わっていれば、ジェイミーはその後に殺人をしたりすることはなかった思う。

製作者の伝えたかったことは?

製作者は、そういう道もあった、そしてこのドラマではジェイミーもアンブローズも、そうではない道を選んだ、として描いた。

View this post on Instagram

Some props are more fun to play with than others.

A post shared by The Sinner (@thesinnerusa) on

彼らが伝えたかったことは、ジェイミーが家族と幸せに生きるという可能性もあり、やはり深淵に飲み込まれる可能性もあった。それは誰にもわからない。だがアンブローズはああいう決断をした。最初の決断は刑事としてはおそらく正しい決断だろう。だがアンブローズとしては、確実に正しくない事をした。ジェイミーの件で下した彼の決断は、今後の彼の人生でいずれ問われる日が来る。

アンブローズの件はそれでいい。だがジェイミーは? このドラマとして語りたいことはそれだったのか?それで今も後悔していないか? 別に制作陣に文句があるわけではないが、こう聞いてみたい気持ちは今もある。

理解できない点・不満に感じたところ

今回のザ・シナーでは、どうしても理解できなかった点がある。それはジェイミーの家にニックが現れた日のことだ。あの日ニックがジェイミーを訪ねてきたが、ジェイミーは彼を拒絶せずに結局はディナーの席に招き入れた。

真相は、ジェイミー本人がニックに居場所を伝えたということだが、ジェイミーは家族とニック(深淵)を秤にかけ、家族を選ぼうとしていた。ところがニックは「昔の話を奥さんにするぞ!」と脅し車で出かけることを承諾させた。

だが、ニックとジェイミーが二人で過去にやったことで、奥さんに話されて困ることなんて無かったはずだ。別に誰も殺していないし、重大な犯罪も犯していない。それでもニックの脅しに屈したというのも深淵を覗きたい欲求なのだろうか?

個人的にはそうは思えない。いや、製作者がそう作ってるんだから!と言われそうだが(笑)、それでもそうは思えない。

そして最大の不満は、なぜあの場所、なぜソニヤの土地だったのか?の理由だ。

この理由は、見た人はご存知の通り「ただの偶然」だ。S1・2のザ・シナーなら、この理由が重要で、この場所(ソニヤ)である理由の謎解きが、かなりの見せ場になる。なので今か今かとワクワクして見ていたが、結局ただ通りかかっただけとw

まあ、確かに多くの殺人事件の現場が、ただの偶然で選ばれたというケースは少なからずあるだろう。でもドラマだよ、ザ・シナーだよ!! ここから本格ミステリーに突入、あのイカれたニックとソニヤの関係が明らかに!なんてワクワクしていたらコレだよw

これもリアリティの追求なのか? それとも、深い心理描写に引き込む一つの手法だったのだろうか?

良かった点

最後にザ・シナーS3の良かった点について。イロイロと文句を書いてきたが、最後まで完走したし、それなりの面白さ。クオリティは保っていたと思う。もちろんシーズン4も絶対に見る。

ということでS3の良かった点。

まずはマット・ボマー。

これに異論がある人はいないだろう。こういう追い詰められた男の演技をマット・ボマーは得意としている。特に善人でもある・・という役は彼の最も得意とするところだ。今回の演技も素晴らしかった。マット・ボマーは、スタイリッシュに決める演技も良いが、やはり追い詰められたり、惨殺されたりしてこそ、彼の真価が発揮できるというものだろう。

キャストで言うなら、ソニヤ・バーゼルを演じた「ジェシカ・ヘクト」。

今回の役は、普通の中年でもあり、ミステリアスな画家でもあるという面白い人物。しかも主役の恋人になるという事で見せ場は多かった。いろいろな見せ方をする演技を軽くこなすあたりは、さすがベテランといったところだろう。

今回のソニヤ役を見ていて、どこかで見たなぁ・・と思っていたが、すぐに思い出した。ブレイキング・バッドでウォルターの昔の彼女役を演じた人だ。ウォルターがスカイラーと出会う前に付き合っていたが、結局ビジネスパートナーと結婚しリッチになった人ね。最終回にも夫婦で出ていた。グッド・ワイフやパーソン・オブ・インタレストの役も思い出せた。良い女優さんだよね。

演出・ストーリー的には、ジェイミーと奥さんの関係でいくつか好きなシーンがあった。 この夫婦は結局破綻したのだが、どこかで切れない絆も感じられた。

夫の様子がおかしいと、強硬に別れを決めたり、ジェイミーの奥さんはアメリカンなところもあるが、最後まで夫を気遣い、信じた面もあった。 夫が殺人犯だと分かった最終話の別れのシーンは特に良かったと思う。あのシーンを見ると、やはりニックを見殺しにしたジェイミーが罪を問われる必要は無いと改めて思う。ああいうシーンを挟んだのは、そういう思いを視聴者に抱かせたかったからだろう。

だが、それに成功したら、視聴者はどうしてもアンブローズの決断(騙して録音した件)を咎めると思う。アンブローズがあんな事をしなければ、ジェイミーの家族は幸せだっただろうに。今回のザ・シナー S3、自分の感想は結局ここに行き着いてしまう。

ポチッとお願いします!
にほんブログ村 テレビブログ 海外ドラマへ

コメント