マインドハンター シーズン2の感想

マインドハンター シーズン2マインドハンター

マインドハンター シーズン2全話を見たので、その感想を。

まず、このマインドハンター、自分が思うには視聴者を選ぶドラマだと思う。 このドラマ、ジャンル的には犯罪物であり刑事物。だが、刑事物につきものの、撃ち合い・銃撃シーンや凄惨な犯行シーンは一切なし。会話と地道な捜査シーンが淡々と続くので、人によっては暗くて退屈なドラマと感じるかも知れない。

ただしこの手のストーリーが好きな人には、実はたまらない内容。もちろん、自分は全話ガッツリ集中して2回見ました。そして確実にまた見直すでしょう。

このマインドハンターは、そんなマニア向けの異色のドラマだと思います。

演技:4 out of 5 stars
脚本:4 out of 5 stars
映像:3.5 out of 5 stars
総合:4 out of 5 stars

マインドハンターのキャスト

感想に行く前に、まずはキャストについて少し。

マインドハンターは、ビッグネームを主役に据えて・・という、王道のキャスティングではなく、それほど有名ではなかった、「ジョナサン・グロフ」を主演に抜擢し、そのサイドを実力派で固めるという手法が取られている。

またゲストスターにもビッグネームは使わず、悪役(犯人)には、実在の人物に似た役者を起用するという、こちらも脚本同様に硬派なスタンスを貫いている。

ジョナサン・グロフ

主役の「ホールデン・フォード」を演じるのは、Gleeでフィンのライバル「ジェシー」を演じていた、ジョナサン・グロフ。

ジョナサン・グロフといえば、歌のうまい役者が集まったGleeの中でも、1,2を争う抜群の歌唱力で印象に残っている。*男性キャストの中で

GLEE – Rolling In The Deep (Full Performance) HD

彼が歌う時はレイチェルとのデュエットが多かったが、クイーンの曲など、殆どが高音バリバリの高難易度の選曲ばかりだった。あのライアン・マーフィーにそういう難曲をオファーされ続けたというのは、ジョナサン・グロフがいかに歌が上手いかの証明だろう。

そういえばGlee出身の役者も、だいぶ優劣が付き始めた。ジョナサン・グロフは、本作で出世した一人に数えられるが、ドラマで言うなら、彼とザ・フラッシュのグラント・ガスティン、スーパーガールのメリッサ・ブノワが出世頭かな。ディアナ・アグロンは飛び抜けたけど、他はミュージカル組が多く、ドラマ出演が少ないのは少し残念。

それにしても、こういうダークな犯罪ドラマにジョナサン・グロフを起用したのは驚きだ。彼の場合、確かに生真面目なイメージもあるので、ホールデンに近いと言えなくもない。だが一般的なイメージだと、ジョナサン・グロフはFBIエージェントにも行動科学にも、あまり結びつかないように思う。

彼に合う人物像と言うと、

  • 嫌味な小悪党
  • 傲慢なエリート
  • 真面目な好青年だが、悲しい運命にある

なんとなく、こんな風に想像できる。 だがジョナサン・グロフは本作で、仕事に悩むのだけど、そこま思い詰めず、基本前向きなホールデンという人物を好演している。

ホールデンのシーンで一番好きなのは、チャールズ・マンソンとのインタビュー直前。

ホールデンは、マンソンにインタビューするので新しいマイクを買ったそうなんだけど、それをビルにさりげなく突っ込まれる会話。ホールデンまでミーハーかよ?と、ここは思いがけず笑えた、良いシーンだった。

ホルト・マッキャラニー

ホールデンの相棒、ビル・テンチを演じているのは、「ホルト・マッキャラニー」。

ホルト・マッキャラニーの事はあまり知らないけど、CSIマイアミの刑事役は覚えている。準レギュラーまでいかずに退場してしまった役だったが、インパクトはあったと思う。

彼が演じるビルは、ホールデンとは正反対の性格で、まさに刑事そのもののタイプだ。ただ、やや繊細な面もあり、そこに家族の問題が絡んでくると周りが見えなくなる傾向にある。

このビルはホールデンとは違い、よくいそうなタイプだ。なので自然と彼は、ホールデンのお目付け役を上司から頼まれることが多い。

そしてシーズン2、ビルにとって厄介過ぎる問題が持ち上がった。 それは息子ブライアン(養子・小学生くらい)の件だ。ある子供の死体を、ブライアンが十字架に張り付けにしたという事があった。これは、ブライアンがイカれていてやったという説と、神に助けを求めてやったという説に分かれたのだけど、普通に考えたらイカれている説が正しいだろう。だがブライアンは小学生だし、もともとおとなしい子だ。ビルも奥さんも、ブライアンがイカれているとは考えていない。

ところが、少しずつブライアンの変わったところが見えてくると、ビルの妻・ナンシーは、ブライアンを見放すような発言をするようになり、ビルとの距離を置き始める・・

う~ん、、ブライアンはサイコパスなのか? どうも熱心なクリスチャンには見えない。ただ、サイコパスと断定するには全然早い。というか、個人的にはイカれているとか、養子になる前に何かあったというより、単に寂しいだけのような気がする。寂しいからといって死者を張り付けにすることは無いとも思うが、なんとなく克服可能な精神的問題のような気がする。

これからどうなるかわからないが、ビルの問題は結構深そうだ。ウェンディとホールデンに相談して、早くこの問題を片付けて欲しい。ちなみにナンシーとは分かれたほうが良いような・・

アナ・トーヴ

Dr.ウェンディ・カー を演じるのは「アナ・トーヴ」。アナ・トーヴといえば、フリンジが代表作かな?

なんとなく、かなりキャリアのある女優のような気がしていたが、実際はそうでもなかった。出演作品は結構少ない。アナ・トーヴはオーストラリア出身。まず地元でデビューし、イギリスに渡り、その後フリンジの主役級を掴みアメリカへ。アメリカではマインドハンターも含めて、順調にキャリアを積んでいる感じだ。

マインドハンターのウェンディは、知的で冷静、自立心があり、リーダーシップも見せる。ただしマインドハンターの時代背景は1980年代辺りのアメリカ。それはまだまだ女性には厳しい時代だ。しかもウェンディは同性愛者。男勝りの知性と行動力があり、野心もある彼女だが、この時代は相当に厳しい。

まあこういう人が、今のアメリカの女性の立場を確立してきたわけで、それを考えると、ウェンディはFBI行動科学課、アメリカ女性の権利、ゲイの権利、こういう大きな流れの確立に寄与した凄い人だといえる。

個人的な感想だと、ウェンディは常に戦わざるを得ない人で、それも常に不利な戦いをしなければならない人に見える。なので彼女はとても強い。例えるなら、今のアメリカの女性CEOみたいなイメージかな。

このウェンディのシーンで一番好きなのは、彼女が初めて刑務所のシリアルキラーにインタビューをしに行くシーン。この時ウェンディは、グレッグと一緒に行動するのだけど、刑務所訪問自体が初体験のグレッグは、隠しようがないほどビビりまくる。刑務所の中に入るところで、グレッグはウェンディに対し、「ここで人質に取られたら女性はレイプされる」と言う。するとウェンディは冷静に、「うん、レイプされるのは女性だけではないわ」と返す(笑)。グレッグは絶句・・

シーズン2のハイライトはウェイン・ウィリアムズ

このマインドハンターには、実在のシリアルキラーが多数出てくる。そして、その伝説的なシリアルキラーのほとんどは、基本嘘つきとして描かれている。 ただし、文字通り巨大な存在感を発揮したエド・ケンパーは異例で、いかにもな嘘つきではなく、ある意味正直者として描かれていた。*本当にそうらしい

また、あのチャールズ・マンソンは、ホールデンでさえ嘘か本当か全く判断できないほどの桁違いの嘘つきとして描かれ、ケンパーとはまた異なる、異色の存在感を強烈に示した。

そんなマインドハンターに出演する伝説的な殺人鬼の中でも、個人的に最も印象に残ったのは「ウェイン・ウィリアムズ」だ。 ウェイン・ウィリアムズはシーズン2の後半に登場する殺人鬼だが、ケンパーやマンソンとも、BTKキラーとも異なるタイプの圧倒的な異常者だ。

ビルはウィリアムズの事を「変質者」と呼んでいたが、単に変質者としてならBTKキラーのほうが上だろう。だが、シリアルキラー、犯罪者としてのウィリアムズは、マンソンやBTKキラーよりも、はるかに悪質で社会に害を与えた人物だと思う。

立件されたウィリアムズの罪は成人2名の殺害だけだが、 ホールデンらFBIと警察は、ウィリアムズは少なくとも27人の子供の殺害に関与していると見ていた。実話によると、状況証拠ではあるが、10人近くの子供の遺体からウィリアムズの家にあるカーペット繊維、飼っている犬の毛、本人のDNAが出たそうだ。これは彼の何らかの関与を伺わせる。しかも、ウィリアムズ逮捕から、あれだけ短期間に頻発した誘拐殺人がピタリと止まっている。

執拗に子供を狙う手口、その殺人数の多さは、ウィリアムズの異常性を明確に表している。そして、これだけの大量殺人鬼が裁かれなかった時代背景に、正直なんの言葉も出ないほど衝撃を受けた。過去の事だが、この不幸な現実を知って、こんな事があっていいのだろうか?とつくづく思い、今も心の重さが取れないでいる。 これがマインドハンターでのウィリアムズ事件の正直な感想だ。

またプロファイリング的に言うなら、これほどプロファイリングに完璧に合致する犯罪者はそうそういない。劇中で、ホールデンのプロファイリングを参考に、少し自分も犯人像を想像してみたが、これもウィリアムズにかなり近かった。まさに現在のプロファイリング手法の原点のようなシリアルキラーがウィリアムズだ。

このウィリアムズに関して書いていると、数万文字になりそうなのでこの辺にしておくが、非常に悪い意味で、マインドハンター シーズン2で最も記憶に残ったキャラが、このウェイン・ウィリアムズだ。

少しずつ明らかになる、謎の変質者は?

シリーズ開始当初から登場してきた、ドライバーか作業着のような服装の、ひげの白人。現在のマインドハンターでは、この男は「ADTサービスマン」とクレジットされている。だがこの風貌や手紙のイラストから、彼がBTKキラー(デニス・レイダー)なのは間違いはないだろう。

BTKキラーもウェイン・ウィリアムズのように、型にハマったシリアルキラーだ。この男もかなり凶悪で、その犯行は凄惨そのもの。そしてこの男の最も恐ろしい異常性は、完璧な快楽殺人者だということだと思う。殺人をアートに例えるほど愛していて、日常から殺人のことで頭をいっぱいにしている。そしてもちろん性的な倒錯者でもあり、その分野でも見間違えることのない異常者だ。

さらに、これも完全に異常といえるほどの強い自己顕示欲を持っている。何に、誰に認められたいのか?それがイマイチわからないが、おそらく自分が歴代最高の殺人者だという自負?プライド?があるのだと思う。それを同業者に認めさせたかったのか??

ところで、マインドハンターのBTKキラー映像を見ていると、ある素朴な疑問が浮かんでくる。事実では、BTKキラーことデニス・レイダーの逮捕は2005年だ。ということは、シーズン2のマインドハンターの時代から、約20年後ということになる。

マインドハンターのシーズン3が、いきなり20年後で始まる可能性はまずあり得ない。ということは、BTKキラーは今後も今までのような感じで、少しずつ登場し続けるのだろうか? だがこれは、かなり気の長い話だ。 そう考えると、基本的にマインドハンター制作陣はBTKキラー逮捕の構想を、今は持っていないだろう。まあ現実的に考えると、BTKキラー逮捕=完結 となるのかな? だとすると、シーズン20頃か(笑)

まとめ

最後にマインドハンターの感想をまとめると、ウィリアムズの件でかなり不満は残ったが、これは史実に基づいているのでどうしようもない。こういう、本当に納得できない件が世の中にはある、それを伝えたかったという事もあるのだろう。

これは犯罪捜査のストーリーで、対象は凶悪な殺人鬼だ。リアリティを追求すれば、こういうラストシーンは普通にあるだろう。 それにしても・・・

また、もう一つの感想を正直書くと、「ああ、行動分析課に入りたかった・・」だ。 これは笑い事じゃなく、本当の話。いや~、民間で起業して、警察に売り込んでみようかなあ?

マインドハンターは、そんな事を本気で考えてしまうようなドラマだ。新シーズンが本当に楽しみだ。

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