Netflixで2020年3月に公開となった「オザークへようこそ」のシーズン3。
前にシーズン1・2までの感想も書いたけど(こちら=https://ustv.info/ozark/4221/)、今回のシーズン3はこの頃と少し様相が変わったように感じた。この感覚は、たぶん今シーズンが予想外の夫婦対決で始まったからだと思う。ただ、終盤にかけて物語は激変。いつものオザークが戻ってきたと同時に、かなりこの先がたのしみになった。
軽くあらすじ *ネタバレあり
シーズン2の終わりで、カルテルの命を受けたバード家がカジノの誘致に成功する。だがマーティは、カルテルとのつながりを断つため、家族でオザークを脱出する計画を立てていた。
ところが妻のウェンディはこれに反対し、このカジノを足がかりにオザークで自分たちの地位を確立させようと考えていた。
この事からバード夫妻は激しく対立。カルテルのボスの信頼を得たウェンディは、ヘレン(カルテルお抱えの女弁護士・切れ者)を味方につけオザークに自分の帝国を築こうとする。
逆にマーティはウェンディとヘレンのやることをことごとく妨害。だがこの妨害がカルテルのボスにバレ、マーティはメキシコへ誘拐され監禁される。
ところが、マーティの留守中にオザーク(米)で問題発生。FBIによってボスの大金が入った銀行口座が凍結されてしまう事態に。
しかしこれをマーティが解決したことで、今度はボスの信頼はマーティに傾き始める。*実はマーティとFBI捜査官の阿吽の呼吸が生んだ頭脳プレーだった。
最終的にバード夫妻は、2人揃ってボスの信頼得ることに成功。ところが、これらの一件からマーティの腹心中の腹心「ルース」が、地元で古くからヘロイン製造しているスネル家のダーリーンに接近。
これまで何度もバード夫妻と揉めてきたダーリーンは、ベンのことでウェンディに怒るルースと手を組むことに。さらにダーリーンは、最近マーティとの確執から仕事を切られ抗争寸前となっていた地元マフィアまで仲間に引き入れる事に成功。
最終回に事実上のカルテルNo.2に上り詰めたバード夫妻は、オザークを地元とする麻薬業者(スネル家・ダーリーン)+マフィア(フランクとフランクJrが仕切る)+地元のゴロつき家族(ルースなどラングモア家)の連合軍と戦うことに・・
感想
まずメインストーリーが面白かったと思う。バード夫婦の確執なんてあまり予測していなかったので、意外な面白さがあったし、ボスとの関係が少しずつ動く感じも楽しめた。
特に良かったのは、バード夫婦の確執が最終的に強い信頼関係に変わったところ。そしてバード家を恨む者たちが結集した筋書きだ。ここの脚本はすごく自然だったので単純に面白かったし、次シーズンへの期待感を爆発的に高めたと思う。
シーズン2で少し疑問だった、なぜダーリーンを残したのか? なぜルースとワイアットを揉めさせたのか? なぜフランクのマフィアとマーティは常に揉めているのか?など、イマイチ理解できなかったサブストーリーの疑問も全て解決した。
こういう構成はすごく緻密で、後になってからオザークの完成度の高さを感じさせてくれる。またサブストーリーで言うなら、ベンのストーリー、フランクジュニアのストーリー(たぶんまだ解決していない)、マヤ・ミラーFBI特別捜査官のストーリー(これもたぶん継続中)も、サブのサブ的な話ながらかなり面白かったと思う。*ベンに関してだけやや不満がある。これは後述します。
ただしこれらは全て、次以降のシーズンへの布石だった。そう考えると、シーズン3は完全なお膳立てシーズンの位置づけになっている事がわかる。シーズン1・2で撒いた伏線を3で回収する。だがそれもシーズン4への積み上げでしかなかった、と。
こういう緻密なストーリー構成はコアなファンを作るよね。細かいストーリーまでしっかりつなげるドラマというのはなかなか無い。この流れ的に、おそらくシーズン4はとりあえずのクライマックスが来ると思う。
個人的な予想だと、バード家はダーリン連合を潰しオザークを制圧。さらにカルテルのボスを排除することを決める。結局カルテルがある限り、バード家に安心な時間は絶対に訪れないから・・こんなところかな?
Netflixから「オザークへようこそシーズン4」の更新・制作が公式発表されています。配信時期は未定(おそらく2021年)ですが、全14話を前・後編に分けて配信する予定。そしてこのシーズン4がオザークへようこその最終シーズンとなることも併せて発表されています。
オザークへようこそのキャスト
- マーティン・バード / ジェイソン・ベイトマン
- ウェンディ・バード / ローラ・リニー
- ジョナ・バード / スカイラー・ゲルトナー
- ルース / ジュリア・ガーナー
- ワイアット / チャーリー・ターハン
- ダーリーン / リサ・エメリー
- ヘレン / ジャネット・マクティア
- ベン / トム・ペルフリー
この中でシーズン3で加入したのはベンのみ。
そしてシーズン3で必見のキャラは、
- マーティ
- ウェンディ
- ルース
- ベン
個人的にはこの4人だ。この中でマーティとルースに関しては前回(こちら=オザークへようこそ S2までの感想、キャスト紹介)で書いたので、今回はウェンディとベンについて書いてみます。
ウェンディ
ウェンディはシーズン3で最も目立ったキャラなので、今シーズンのMVPと言ってもいいと思う。もともと浮気していたりと、マーティに対し細々とした不満を持っていた彼女だが、今シーズンはなんと間接的にマーティ殺害にも関与。この件は未遂で終わったが、あのときのウェンディはマーティが死んでも構わないといった感じだった。
まあ、マーティとウェンディを比べた場合、ウェンディの方が人間を排除するやり方は明確だ。邪魔者は効率的に排除するウェンディだが、だからといって人間性が無いかというとそんなことはない。それなりに節度があるところがウェンディの魅力でもある。
そういえば、いまだにオザークとブレイキング・バッドを比べる話があるが、この「主人公の妻」に関してはウェンディとスカイラーは大きく違う。本性の話をすると、ウェンディは邪魔者を排除するが、その罪が自分にあること、自分がどういう人間かについてある程度理解している。
だがブレイキング・バッドのスカイラーは、最後まで自分は良心的で悪いのはウォルターだと確信していた。どちらが利己的か?どちらが始末が悪いか?は言うまでもないが、ウェンディは今のところ必要のない悪事はしないので、視聴者から嫌悪されるようなキャラでは無いと思う。
それとシーズン4に関してだと、ウェンディとジョナの確執が激化しそうなのが心配だ。これは、子供と親の確執なのだけど、子供(年齢的に)と大人の確執でもある。そういう条件で、ジョナはややサイコパスっぽい兆候があり、銃を扱うのが上手い。まあ、ジョナがウェンディを射殺するとは思わないが、子供VS大人なんていうシーンは、個人的に一番見たくないシーンでもある。変に幻滅することがないように願う。
ベン
ベンは初登場シーンで、何者なのか全く分からない状況で出てきて、無関係の男を殴りまくるという謎キャラとして登場した。結局、この謎は「双極性障害」だったのだけど、この設定は正直に書くと面白いと感じられなかった。
ベン役のトム・ペルフリーの演技がダメとかではなく、キャラクター設定が好きじゃない。彼の設定を双極性障害ではなく、明るいドラッグ中毒者とか、生粋の不良とか、反対に超真面目でオニ優しいが、姉の所業を知りキレてしまうギャンブル依存症とかにしてほしかった。
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最初のシーンで言うと、いくら生徒のいじめにキレたとはいえ、庭師の男は無関係だしベンと何の関係もない。そういう人をいきなり殴り大怪我をさせ逃げてしまうでは、ベンの印象が悪すぎ。いくら後から、実はいい人でもあり、子供に優しい一面もあるとの演出が入っても、最初の印象が悪すぎる。
さらに悲劇のラストシーンにしたつもりかもしれないが、その前の行動を考えると、とても悲劇を悲しむ気にもなれない。
あのときのベンは、姉夫婦の金でさんざん贅沢をし遊び周り、向精神薬を飲まず好き勝手やる。そこで姉がカルテルに関係していると知ったら、人前でそれをぶちまけようとするは、ヘレンの10代の娘を脅すような行為に出るわ・・
なんでこんな脚本・キャラ設定にしたのだろう? さっきも書いたが、もし悲劇の弟を演じさせるのなら、心優しい善良な男だがギャンブル依存症でカルテルの金を使い込んでしまったとかのほうが同情出来たのに。または、病院送りにされたルースのためと思い、勘違いでカルテルの人間を襲ってしまった・・とか。
ベンは登場シーンも多かったのでシーズン3のポイント的なキャラだったと思うが、個人的にはやっちまった感が拭いきれない。しかもシーズンファイナルでのジョナの行動ねえ。あれでは、中年の母をローティーンの息子が銃撃するかも?なんて、1ミリも面白くない想像しかできない。
バード家の息子のジョナがダーリーンの一派になるとかも想像できるが、それもクソ中のクソ脚本だ。 これ以外がワクワクものの設定ばかりなので、変に後を引かなければ良いと願うばかりだ。
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